アンチドーピング関連
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ドーピングに関する質問について
沖縄県薬剤師会ドーピング防止ホットラインではドーピングに関する質問を受付けております。
日本アンチドーピング機構認定スポーツファーマシストは、最新のドーピング防止規則に関する正確な情報・知識を持ち、競技者を含めたスポーツ関係者などに対し、 薬の正しい使い方の指導、薬に関する健康教育などの普及・啓発を行い、スポーツにおけるドーピングを防止することを主な活動としています。
ドーピングに関するご相談は、
沖縄県薬剤師会 ドーピング防止ホットライン まで
お電話ください!
098-963-8935
平日:9時~12時 13時~17時
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Q
サプリメント・健康食品の摂取について
A
国内外で多数の健康食品・サプリメントが入手できますが、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)は、スポーツでのサプリメントの使用を推奨していません。
●サプリメントを選ぶ時の注意
JISS が示す「ダイエタリーサプリメントおよびスポーツフード」のように、食事から十分な量が摂取できない場合に補われる栄養素や成分のサプリメントが必要になった場合、個々の生活活動量や体調などに合わせた対応だけでなく、アンチ・ドーピングについても注意が必要になります。このような時の判断には、Supplement411の「High Risk List」を確認したり、アンチ・ドーピング認証を取得したサプリメントを使用したりすることでリスクを減らすことができます。
➀Supplement411「High Risk List」(https://www.usada.org/athletes/substances/supplement-411/)をチェックする米国のアンチ・ドーピング機関「USADA」の公式サイトにはサプリメントの安全性に関するコンテンツ「Supplement411」があり、禁止物質を含むサプリメントのデータベース「High Risk List」(リスト閲覧にはユーザー登録が必要)が掲載されています。サプリメントの中には汚染などにより禁止物質が入っている場合もあり、表示成分に禁止物質が含まれていなくても、すべての含有物質が明記されているわけではありません。
商品名だけでなく会社名がリストに掲載されているかどうかなども参考にして判断します。
(参考)Supplement411
https://www.usada.org/substances/supplement-411/
②ガイドラインに基づいたサプリメントを選択
これまでは JADA によるサプリメント分析認証プログラムがあったが、この認証プログラムは 2019 年 3 月31 日をもって終了となりました。
(参考)JADA サプリメント分析認証プログラムの終了について
https://www.playtruejapan.org/topics/entry_img/190403_3.pdf
同日「スポーツにおけるサプリメントの製品情報公開の枠組みに関するガイドライン」が公表され、アンチ・ドーピング認証を希望する事業者は規定の生産施設審査を受け、認証を取得することが必須であり、製造管理や保管、輸送などが評価の対象項目となること、また、製品分析を年に1度以上実施し、結果を公開することも求められています。
(参考)スポーツにおけるサプリメントの製品情報公開の枠組みに関するガイドライン
https://www.playtruejapan.org/entry_img/s-guideline.pdf
現在、(公財)日本分析センターがスポーツサプリメント製品の情報を公開しています。また、第三者によるサプリメント認証は、米国 NSF 社の「Certified for Sport」、英国 LGC 社の「Informed-Sport(IS)」、「Informed-Choice(IC)」、米国 BSCG 社の「Certified Drug Free」などの製品や原料が流通しています。リスクを軽減するには、これらの情報を参考にしてください。ただし、これらは製品の完全なる安全を保障するものではなく、あくまで自己責任となります。
●サプリメントの必要性を考えよう
アスリートから「サプリメントを服用したい」と相談された場合、食事から栄養が十分に摂れずに本来の能力が低下してしまう JISS が示す「ダイエタリーサプリメントおよびスポーツフード」は、アンチ・ドーピングに対応したサプリメントの服用が勧められます。しかし、アンチ・ドーピング制度において競技力向上の効果がある物質は禁止物質として厳格に禁じられていることからすれば、服用が許されているサプリメントには競技力向上の効果がないはずなので、果たしてサプリメントを服用するメリットが本当にあるのか、ということをアスリートと一緒に考えていただきたいと思います。
最終的には、サプリメントの摂取はアスリートの判断になりますが、サプリメントによるドーピングの違反となる場合のデメリットと、サプリメントを服用するメリットを今一度比べ、薬剤師のリテラシーを駆使してアスリートをサポートしてください。
(薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック2021年版) -
Q
漢方薬について
A漢方薬を構成する生薬には、それぞれたくさんの成分が含まれており、1 つ 1 つの成分が禁止物質にあた るかどうか特定するのは困難です。漢方薬にも明らかに禁止物質を含むものがあり、例として、丁子、附子、 細辛、南天実、呉茱萸にはヒゲナミン、麻黄にはエフェドリンやメチルエフェドリン、プソイドエフェドリン、ホミカ にはストリキニーネ、そして前述の滋養強壮薬には蛋白同化作用を示す成分が含まれています。また、半夏 にも微量ですがエフェドリン類が含まれるので、注意が必要です。さらに名前が同じでも製造販売会社、原料 の産地、収穫の時期などで成分が違うことがあります。また、カタカナ表記で西洋薬と間違えてしまうような漢 方薬もあります。
○漢方薬の TUE 申請について:一般的に漢方薬を使用しなくても疾患の治療が可能な場合、TUE 国際基 準の付与基準に該当せず、承認されません。また、漢方薬が含有する禁止物質が特定できない場合 TUE 申請ができません。TUE は物質を申請して、その物質に対して治療使用特例が認められます。 漢方薬の方剤名は物質名ではありませんので、方剤名で TUE 申請はできません。
(薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック2021年版) -
Q
“禁止物質を含む医薬品を服用してしまったが、服用をやめてどれくらいの期間があれば大丈夫か?
A以前には、医薬品の持つ体内からの半減期(体内に残っている量が半分になる時間)の5倍から10倍の時間という考え方もありました。しかし、分析機器の進歩によりどんなに微量であっても体内から検出されてしまう可能性は残ります。また、医薬品により、体内からどのくらいで消失するかについて個人差も大きいのです。
このようなことを考慮すると、安全な期間を責任を持って答えることは難しいと考えます。禁止薬を使用しないように細心の注意を払い、必ず確かめてから使用するようにしてください。